血液検査をしたときに、HDLコレステロールやLDLコレステロールという言葉を耳にすることがあるかと思います。これらは脂質異常症はメタボリックシンドロームなどの指標にもなっています。
LDLコレステロールは高いと動脈硬化等のリスクが上がるということで有名ですが、HDLコレステロールは高いと体にはいいということが多くの人の知識の中にあると思います。
しかし高すぎであったり、異常値であるとこれはこれで問題があるということをご存知でしょうか?
今回は、HDLコレステロールとは何か、どんな役割を果たすのか?高すぎるとどうなるのか?などなどいろんな知識を紹介していきたいと思います。気になる方はこれを機に是非勉強してみてください。
その1:HDLコレステロールとは一体何?!
HDLコレステロールとは一般的に善玉コレステロールと言われているものをいいます。これは、血管の壁などにくっついている余分なコレステロールを取ってくれる、いい役目をしてくれるコレステロールなのです。
基準値は40〜119mg/dLとされており、体にいいとは言え、基準値の上限は設定されているようです。
また、女性は加齢に伴って女性ホルモンが少なくなってしまうため体内のコレステロールが代謝されず、蓄積されやすくなります。そのため男性に比べてHDLコレステロールも高くなります。以前は基準値も男女別でしたが、現在では男女同じ基準値に変更されました。
その2:HDLコレステロールは何をしてくれるの?
善玉コレステロールであるHDLコレステロールの働きを詳しく紹介していきたいと思います。
コレステロールには2種類存在します。HDLとLDLです。LDLは悪玉コレステロールといい、肝臓で作られたコレステロールを全身に運んでしまうコレステロールなのです。そのため増えすぎると動脈硬化や心筋梗塞などの原因になってしまいます。これは、血管壁などにコレステロールが沈着してたまってしまうからです。さらに活性酸素により酸化されると過酸化脂質になり血管が細くなって血栓ができてしまうのです。
しかしHDLはそれを予防するために余分なコレステロールを全身から拾い集めて、コレステロールの処理工場とも言える肝臓に戻すのです。そのため、HDLコレステロールが高いと健康に導いてくれると考えられているのです。
このことからも分かるように、LDLが高くてもHDLが高ければ回収できるので二つの比率も大事であるというわけですね。
その3:HDLコレステロールを高くするためには?
HDLコレステロールは40mg/dL未満であると、脂質異常症の恐れが考えられています。では、どうやったらHDLコレステロールを高い値にすることができるのでしょうか?
HDLコレステロールを高める方法
摂取カロリーを抑えてみる
摂取カロリーが多すぎると余分なエネルギーが中性脂肪として体の中に溜め込んでしまいます。そのため、摂取カロリーを減らすのが効果的です。また、ウォーキングなどの有酸素運動でエネルギーを消費させるのも一つの手です。
コレステロールが多い食事を控える
コレステロールは一般に卵や魚卵、レバー、肉や魚の内蔵などに多く含まれています。マヨネーズなどのドレッシングにも多く含まれているので、カロリーオフのものや、摂取を控えるようにしましょう。
悪玉コレステロールを増やす食事を控える
特に多いのは脂身の多い肉や乳製品、バターなどです。また菓子類やインスタント食品にも多いので、できるだけ野菜を中心としたヘルシーな食事を心がけましょう。
悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす食事を摂取してみる
食物繊維の多い、海藻類、果物、野菜、大豆製品などがLDLコレステロールを下げて、HDLコレステロールを高めてくれます。また、不飽和脂肪酸の多いオリーブオイルや魚油、ごま油、青魚もオススメです。これらもLDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを高くしてくれます。さらに食事のときにはカテキンの含まれる緑茶や紅茶がオススメです。抗酸化作用が強く、酸化を防ぎコレステロール値の上昇を抑えます。
その4:体にいいのにHDLコレステロールは高すぎると問題なのか?!
HDLコレステロールは善玉なので体にいいとは言え、基準値が設定されている以上、高すぎるとそれはそれで問題もあるのです。
HDLが基準値を超え、高すぎる場合、高HDLコレステロール血症という風に診断されます。高いからといって病気になってしまうのかと言えばすぐに起こるというわけではないですが、経過観察は必要なのです。HDLはLDLに比べると粒子が小さく、LDLがHDLに混ざっていて判断できないこともあるようです。
- 遺伝
- 日常的な運動
- アルコールの過剰摂取
- 薬物投与 など
こういった日常が原因の場合も考えられる一方で病気の疑いもあります。
- 高HDLコレステロール血症
- CETP欠損症
- 原発性胆汁性肝硬変
- 閉塞性肺疾患 など
HDLコレステロールが高い場合ガイドラインなどはないため、経過観察が必要になってくるようです。CETP欠損症に関しては多くの方に冠動脈疾患の保有が観られ、将来動脈硬化を伴う可能性があるとされているとのことです。
HDLコレステロールが高い場合には定期的な血液検査をすることで、変化を確認するのが良いでしょう。
その5:HDLコレステロールが高い場合に気をつけるべきこと
やはり食事に気をつけることが大切です。
高コレステロール血症では肝臓での合成量が多すぎることも原因です。そのためコレステロールをつくる動物性脂肪やトランス脂肪酸の摂取を控えたり、中性脂肪を増やさないように糖質の摂取を少なくすることが良いでしょう。
また、ポリフェノールの多い野菜や果物、ビタミンEの多いナッツ類など、抗酸化作用が高いものも脂質を酸化から守ってくれます。
さて、今回はHDLコレステロールが高いと健康的?高すぎると問題あり?知りたいこと5選についてお話ししましたがいかがでしたか。
体に良いと思っていたHDLコレステロール。しかし、ガイドラインはないものの高すぎると病気の疑いや生活習慣を見直す必要はあるというわけです。食事や運動に気をつけ、LDLとHDLの比率がバランスよくなるように心がけ、定期的に血液検査をして状態を把握するようにしましょう。
HDLコレステロールが高いと健康的?高すぎると問題あり?知りたいこと5選
その1:HDLコレステロールとは一体何?!
その2:HDLコレステロールは何をしてくれるの?
その3:HDLコレステロールを高くするためには?
その4:体にいいのにHDLコレステロールは高すぎると問題なのか?!
その5:HDLコレステロールが高い場合に気をつけるべきこと